ウメ、お地蔵様に救われる。
この街へ来て、3年目の梅雨を迎える。
部屋だけ決めて家を飛び出し、勢いだけで暮らしていた。
職も安定せず、日に日に生活が苦しくなる。
お店でキュウリを買うのでさえ躊躇した。
キュウリはほとんど水分。
もはや嗜好品である。
「贅沢だわ…。」
ウメはキュウリを棚に戻し、店を後にした。
そんなウメに 米や野菜、お肉 を差し入れしてくれる方がいた。
まるで笠地蔵のように。
そのお地蔵様のお陰で飢えはしなかったが、もう家賃、光熱費が払えない。
もはやこれまで。
しかし、ウメはこの地に居たかった。
お地蔵様は小さい一軒家に住んでいた。
ウメは懇願し、お地蔵様の家の"住み込み家政婦"として住まわせてもらうことになった。
住み込み家政婦といっても食事は各々。
食事の片付けと掃除、洗濯ぐらいで後は好きにしてよかった。
なんとも慈悲深いお地蔵様。
ウメは知人にもらった火鉢で遊び、
鉄瓶で淹れたほうじ茶をすすった。
ウメはやっと安らかな時間を手に入れることができたのである。
しかし、ウメは悩むことを趣味にしていた。
平穏な暮らしだからこそ悩めるのである。
それは日常の些細な、本当に大したことのない悩みである。
「洗濯物をたっくさん干したいけどそんな場所はないわ。」
「長雨で家中が湿気ってるわ。ああ、カビだらけ。」
ウメはできる範囲でより良い生活を模索した。
そんなウメの悩める日々を自由帳に書いておく。
ウメの試行錯誤を参考にしても良し。
ウメの悩みを助けてくれたらありがたい。
ただ、ウメは神経が細いので厳しいご意見は控えめにお願いします。
では、ウメの自由帳をご覧くださいまし。